2011年7月に起きた新潟・福島豪雨によって3本もの鉄橋が流されてしまった 只見線会津川口~只見。以来ずっと不通となってしまいバスによる代行輸送が続いていました。あれから5年半ほど経ち、本当に復旧するのか、ひょっとしたらこのまま廃線か、という雰囲気もありましたが、地元の強い要望により上下分離方式による鉄道での復旧がようやく決まりました。沿線自治体で赤字部分を埋める覚悟があっての復旧ということを忘れてはいけません。 私は2001年に蒸気機関車が復活運転して以来、沿線の魅力に取りつかれて幾度となく通い、当時の「team只見」や現在の「 写好景嶺」のメンバー、そして沿線で出会った仲間たちと共に 只見線の四季折々の情景を発信してきました。今回の復旧発表を心待ちにしていた仲間も多いことでしょう。それと同時にここからがスタートだと自負する気持ちもまたみんな同じでしょう。奥会津振興のためにみんなで知恵を出し合って、どうしたらいろんな人に 只見線に来てもらえるか考えていきたいです。 実は先日「 只見線ミーティング」で発言したかったけど時間の都合で言えなかった素人なりの提案なのですが、よくある観光列車(リゾート列車)を 只見線でも運行。ただし新製や改造は余計なお金がかかるので、先日新型車両導入で働き場を失った五能線「リゾートしらかみ」のブナ編成をそのまま 只見線に導入。それを二両ずつに分けて、郡山始発と浦佐始発の片道ずつ新幹線に接続する形で運転する案。また会津柳津駅の使われていないホームをカフェ等で活用。春になればそこから満開の桜や列車そして駅舎を眺望する案などなど。実現可能か不可能かは分からないけど、いろいろ面白いアイディアを出していきたいですね。 Nikon D3 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 只見線 会津川口~本名にて(※水害直後の只見川第五橋梁) 今夏訪れた不通区間の本名駅。実は私が只見線で一番好きな場所。集落の中に駅があって線路と人の営みが一体となる光景が見られます。列車が走っていた頃はそれなりに人気も多く、何度となくスナップ撮影をさせてもらいましたが、草むらに埋もれた錆びた線路の現在の駅周辺はとても物静か。多分に漏れず本名集落も高齢化が顕著に表れています。かつての賑わいは果たして戻ってきてくれるでしょうか…(汗)? Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 只見線 本名~会津越川にて 被災区間ではありませんが、只見線の魅力を全世界に知らしめた只見川第一橋梁。三島町が登山道を整備して誰もが気軽にこの光景を眺望できるようになりました。私が最初に訪れていたころとは大違い。沿線の熱意がここまでさせています。末永く愛される只見線を作り上げるために、これからも只見線の魅力を発信していきたいです。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 只見線 会津桧原~会津西方にて
今夏の台風で鉄橋が流出されるなど大きな被害を受けた 石勝線・ 根室本線、急ピッチで復旧工事を終えて本日より札幌~帯広・釧路間の特急列車が運転再開。それまでトマム~帯広間で代行バス輸送だったので、所用時間が余計にかかり、乗り換えで手間がかかっていました。そして年末年始の繁忙期を前に待望の鉄路復活です。 写真は今秋の渡道した際に撮影したトマム行き臨時特急。「スーパーおおぞら」と「スーパーとかち」の車両が交互に使われていましたが、いかんせん一日三往復しか運転されておらず、貨物列車すらやって来なかったので、高規格な線路がありながら超ローカル線と変わらない運転本数でした。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 石勝線 新夕張~楓(信)にて でも今回の運転再開で手放しに喜べないのは、未だに 根室本線東鹿越~ 新得(西 新得信号場)の間が廃止前提により復旧工事が行われておりません。こちらは 東鹿越~ 落合間で代行バスが運行されていますが、 落合~ 新得は公共交通機関での移動はいまだにできない状態。この間は酷道38号線 狩勝峠があり、これからの冬場は運転が大変になる時期。ここが鉄路でつながってくれないと、旭川と帯広という北海道の中でも大きな都市間が行き来できなくなります(都市間バスは運行中)。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 根室本線 幾寅~ 落合にて JR北海道は廃止対象区間に 根室本線富良野~ 新得間も上げていますが、ひょっとしたら今後道内のクルーズトレインを運行するとなると、観光地の富良野と道東を結んでくれるだけに重要なルートとなるでしょう。地元自治体だけに留まらず、上川・十勝管内で知恵を出せば何かしらの活路はあるかと思います。最低限ここだけでも鉄路を消してはいけません! Nikon D5 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 根室本線 落合駅にて
高波による災害のため不通となっていた 日高本線(鵡川~様似)、JR北海道から鉄路による復旧を断念してバス転換への協議に向けた動きがついに始まってしまうようです。 (プレスリリースはこちら。 http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161221-4.pdf) 苫小牧から高規格道路(日高道)の延伸も続いているので、正直鉄路による全線復旧は厳しいと予想はしていたので、諦めはついてはいましたが、風光明媚な海岸沿いや牧場の中を走る姿がもう見られないかと思うと本当に残念でなりません。 でも沿線自治体の一部も、災害区間ではない鵡川~日高門別までの復旧に向けた動きもあるようなので、とにかくここだけでも復活してもらえるよう祈るしかありません。 私が災害前の最後に 日高本線を訪れたのは2014年6月。江差線や寝台特急の撮影で渡道していた時、午後から晴れてきたので何となく 日高本線へ行ってみようと思い、車を走らせました。サラブレッドの牧場の中を走る 日高本線は海岸沿いとはまた違う、沿線の特徴が良く表れる名スポットでした。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 日高本線 荻伏~絵笛にて 日高本線と聞くと海岸沿いを思い浮かべる方も多いようですが、静内以遠は意外と山間部を走行します。その傍らには通票時代の「ハエタタキ」が忘れ去られたかのように点在している個所もあります。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 日高本線 本桐~荻伏にて そして海岸沿いのハイライトは夕景のシルエット!日高本線で撮影された方はまずここへ来るだろうと思えるぐらいの名撮影地。しかしこのカットが日高本線の最後の光景になるとは予想だにしていませんでした。 高波による災害運休の期間中も、無理だとはわかっていても鉄路による復旧を願っていた一人として、今回の復旧断念は本当に残念だけど、昨今の取り巻く状況を考えるとやむを得ないとしか言いようがありません。ここ以外にも石勝線(夕張支線)はすでに廃線に向けた協議が始まり、札沼線や留萌本線も廃止に向けた動きが活発化しています。そして日高本線と同じく災害で不通となっている根室本線富良野~新得間も利用者低迷を理由にバス転換への道をたどろうとしています。これ以上北海道の鉄路が消えている様を見過ごすことしかできないのか、歯がゆさだけが残ります。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 日高本線 節婦~新冠にて
一年前の今日は 札幌市電都心線西4丁目~すすきの間のループ化開業式典の日でした。もう一年経ったのか、と思うぐらい、すっかり 札幌駅前通りに馴染んでいるようです。学生時代に札幌に住んでいたころは駅前通りに路面電車が走ってくれたら良いなぁ~、なんて思っていましたが、それが現実となって、そして札幌の街に定着しているんですから。こうなると一日も早く 札幌駅前に延伸して、 北海道新幹線と接続する光景の実現を夢見てしまいます。新しい街づくりには市電はもはや不可欠ですね! こちらは一年前の開業式典。一応プレス席からですが、いろいろあってグダグダで一般の方も多く入り混じったエリアでした(笑)。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 札幌市電都心線 西4丁目にて 今年5月に札幌を訪れた時、偶然にも「さんきちさん」と親しまれる三吉神社の例大祭がやっていて、市電と絡めることが出来ました。札幌に住んでいたころは意識しなかったのですが、なかなか地域に根付いている感じが素敵ですね。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 札幌市電都心線 狸小路にて こちらはつい先日留萌本線末端区間が廃止された後に札幌を訪れた時。昼過ぎからの降雪がひどくなり一気に道路には湿った雪。ひょっとしたらこの雪の降り方は ササラ電車出そうだね、と友人と言ったとたん目の前に不意打ちのように現われました。その後信号待ちに間に追い抜いてしばらく進むと、またも目の前に別の ササラ電車の姿が見えてビックリ。慌てて車を降りると双方並んで軌道上で停車して作業員同士の打ち合わせ、そして再び発車していきました。長年札幌を行き来していますが、 ササラ電車を二台一緒に撮影したのは初めて。貴重な一枚となりました。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 札幌市電山鼻西線 西線6条~西線9条旭山公園通にて
2016年12月4日、 留萌本線留萌~増毛間の区間が廃止されました。利用者数が特に少ない区間なうえに雪崩等の自然災害と常日頃隣り合わせだった箇所が多かっただけに、廃止やむなしという声が多かった中、私も含め多くの方が最後の光景を一目見ようと現地に集いました。 私は朝一の羽田空港発の飛行機で新千歳空港入り、JRを使って岩見沢まで出て、そこからレンタカーで移動。遅延もなかったので予想以上に早く留萌駅について臨時列車の留萌駅到着を念願だった第10留萌川橋梁で撮ることに成功。幸先のいいスタートでした。輸送力増強で深川駅から留萌駅まで四両編成でやって来た列車は留萌駅で半分に切り離し、片方は増毛行き、もう片方は深川行きに分かれて運行。しかし満員御礼となった二両編成の増毛行きは各駅での乗降に手間取り、遅延が徐々に発生。結果レンタカーで悠々追い越しが可能となり、留萌~増毛間で同じ列車を俯瞰含め4回も撮ることも出来ました。うまい具合にこの列車の時だけ晴れてくれて何とラッキーだったことか! Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 留萌本線 箸別~増毛にて 15時ごろには 増毛駅でお別れセレモニーが開催されるのでプレス席で報道陣と一緒に構えるも、列車がすでに30分以上も遅れて運行しており、だんだんと暗くなる中やきもきしながら列車を待ちかまえました。最初はいらないだろうと思っていたストロボも必要と判断して急きょ車に取りに戻り、それまで取ってあったポジションが取られていたらどうしようかとヒヤヒヤしましたが、そこは何とかなりました。そして列車が到着して増毛町のマスコットキャラが町長と運転手に花束贈呈という一番の見せ場を無事撮影。この写真は目線はこちらに来ていないけど、他のカメラマンのストロボが同調して良い具合に光が回ってくれた偶然かつ会心の一枚(笑)。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 留萌本線 増毛駅にて 日が暮れて、こちらも予定より大幅に遅れて 増毛駅に最終列車が入線。増毛町の住民が多く参加してペンライトで折り返しとなる最終列車の深川行きを盛大にお見送り。観光協会の協力で脚立を貸していただいたおかげでこのようなポジションを構えることが出来ました。私と隣にいた記者たちが「皆さん、もっと盛大にペンライト振ってぇ~!」と必死で叫んだおかげで光に包まれたテールライトをISO32000まで上げて捉えることが出来ました。そして運転手の笛が鳴り、甲高い汽笛が長く鳴り響き、 増毛駅に二度と戻ってこない列車が旅立ちました。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 留萌本線 増毛駅にて
12月になり、 留萌本線留萌~増毛間のカウントダウンが始まりました。いよいよ今度の日曜日が最終運行です。でも明日は暴風雪予報ですでに始発から運転見合わせだとか。本当に最後まで自然災害に悩まされた区間でした。 実は廃止日前日は横浜で夜遅くまで仕事のため、当初は行くのを断念していました。今秋の渡道した際も時間を作って無理やり行って一応のお別れをしたた感じでしたが、もちろん消化不良。かといって十分満足に撮れていない路線で今更ああ撮りたい、こう撮りたいなんて不可能。悔しいけど私の道内在住の仲間たちが素晴らしい作品をたくさん残してくれたので…。 しかしいろいろ考えたけど、やはり最終日は現地へ行くことにしました(当日一番の飛行機)。恐らくこれから始まるであろう、JR北海道路線大粛清の始まり。今回の廃止はその一つのポイントかと思います。どういう訳か深名線や江差線の廃止の時より悔しい気持ちがあまり湧きません。 ひょっとしたらもう後戻りができないのか、いや奇跡の大逆転はあるのか。今回の部分廃止を、他の路線を抱え込む沿線自治体はどのように考え、受け止めているのか。いろいろ探ってみたいです。 Nikon D70s / AF-S NIKKOR DX 18-70mm f/3.5-4.5G ED 留萌本線 瀬越~ 礼受にて この写真はSL「すずらん号」が増毛駅まで入線した時のカット。2006年6月に撮影しています。学生時代から赤字ローカル線の切り捨て問題は付きまとってはいたけど、深名線廃止後は基本的には路線廃止はこれ以上ないだろうと思っていました。まさかこの写真を撮影した10年後に廃線を迎えることになるとは正直夢にも思いませんでした。 Nikon D4 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED 留萌本線 箸別~増毛にて この写真は2014年、網走での長期仕事を終えて札幌へ普通列車で戻る途中に 留萌本線に立ち寄って増毛駅まで乗車。Exifデータによると撮影時間は3月11日14;44。東日本大震災から三年経った時でした。車窓から海に向かって黙とうした記憶は今も残っています。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 留萌本線 箸別~増毛にて そして今年10月に訪問して海をバックに簡単に撮影できる 箸別の跨線橋。2006年6月訪問時にも同じようにここで撮影していましたがここからの光景はほとんど変わらずでした。ただ、あと少しでここで列車が走る光景は永遠に見ることができなくなります。 Nikon D5 / AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ 留萌本線 阿分~信砂にて 最後は、信砂のトンネル上にある丘より 阿分の駅を望む、冬場は荒々しい日本海の波風を受ける絶景俯瞰ポイント。恐らく最終日は雪に覆われていることでしょう。 ちなみにこの時、ここでは撮影者が捨てていったであろうコンビニ弁当のゴミが散乱。あまりにもひどいので片づけましたが、食べた弁当の箱なんてビニール袋に入れて車に積んで持ち帰れば済むでしょう?何でそんなことすら出来ないのだろう、と目を疑うような光景に心底がっかりしました。路線廃止日はその焦りからか周りが見えなくなる傾向が多いので、自戒も含めて節度ある行動を心掛けたいですね。
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